単繊維引張試験機 LEX820 

アプリケーション例

従来からの紙固定での問題点 従来からの紙固定での問題点

台紙での問題点

 
LEX820オートメーションでの運転

ファイバーの軸を試験機の作用線と同軸に[1]

 

はじめに

カーボンフィラメントの強度は、ゲージ長、正確な直径測定、材料内部の傷の分布など、多くの要因に依存します。従来からカーボンフィラメントの引張特性の測定は、一般的に紙製のカードに取り付けられたファイバーを使用して手動で行われてきましたが、多くの問題を含んでいました。
 
 Dia-Stron が提供する完全な自動試験ソリューションは、従来の手動アプローチによって引き起こされる以下の問題に対処できます。
 

  • 断面積は繊維によって異なる場合があるため、正確な寸法測定が重要
  • ファイバーの破損は、手動プロセスのさまざまな段階で、多くの外的で望ましくない力を受けることによって発生する可能性がある。テスト前にカードマウントを切断した場合にも障害が発生する。
  • ファイバーの位置ずれやゲージ長の不正確さは、誤った結果につながる場合がある。
  • データの信頼性は、より大きなデータ セットの実行に依存。手動テストは非常に時間がかかるため、実行するサンプル数が制限される可能性がある。
 

比較テーブル[2]

 
カーボン単繊維の接着作業

タブ、UV硬化材を使用した試料の固定

 
 
 

本システムの優位性

ASTM c1557 では、誤った曲げ歪みや応力集中を防ぐために、ファイバーの軸を試験機の作用線と同軸にすることを推奨しています [1]。アライメント機能を備えた2つのプラスチック製タブの1対の間にファイバを取り付け、装填カセットに使用することにより、アライメントが大きく改善されます。
 

  • ファイバーを固定するためにUV 硬化接着剤を利用、試験片の取り付け時間を短縮。
  • 試験の準備および実行中の多くの望ましくない偶発的な力を排除することにより、破損に至るサンプルの数を削減。
  • ゲージ長の正確な測定と、ゲージ長の範囲にわたって試験する機能により、システムのコンプライアンスを算出。
  • 繊維のプリテンションにより、テスト前にたるみが取り除かれる。 専用ソフトウェアは、張力に適用された正確な伸びを測定し、それに応じて有効ゲージ長を修正可能。
  • 自動化された正確な非接触式での繊維径の直接測定により、正確な応力と弾性率の計算が可能。
  • 従来の手法と比べ作業時間を約75%短縮。
コンプライアンスの補正

3点でのコンプライアンス補正[3]

 
引張試験のグラフ 引張試験のグラフ

引張試験結果のオーバーレイ

サンプルデータ T700S

  • 100 本の T700S ファイバーを無作為に選択、EMI Optocast 3553 UV 硬化接着剤を使用して 1 パーツのプラスチックタブに取り、固定。
  • 各ファイバーサンプルは、5mm 未満の距離で波長 365nm UV 光を15秒照射。
  • 20 個の試験片を、下限コンプライアンス 用の 4 mm ゲージ長に固定。
  • 20 個の試験片を 30mm のゲージ長に上部コンプライアンス用として固定。
  • 60 個の試験片を 20 mm のゲージ長に固定、主要な試験母集団と中間コンプライアンス を形成。

直径測定、引張試験

  • LDS200にて各試験片の直径を測定
  • 各試験片をLEX820を用いて物性試験を毎分1mmの歪みで実施

コンプライアンスの補正

  • システム コンプライアンスの算出は、ISO 11566 試験規格 [3] を使用する。
  • コンプライアンス係数 K を計算するための異なるゲージ長 (例: 4、20、30mm)で測定。
  • コンプライアンス係数は専用ソフトウェアに入力し、解析を再実行することで、コンプライアンスが反映された係数値に変換。

スペックシートと実際の試験結果の比較

 
炭素繊維間の引張試験結果の比較 炭素繊維間の引張試験結果の比較

繊維間の比較

寸法試験

  • LDS200にて各試験片の直径を測定
  • 各試験片をLEX820を用いて物性試験を毎分1mmの歪みで実施

 

炭素繊維間メーカー側スペックシートと試験結果の比較

このスタディーの目的は、商用グレードのフィラメントの公開済みの物性データと自動試験システムで測定された値との相互の関連を比較検討することである。 データは Fabio Franceschi Pereria によって作成した。
 
各カーボンのトウから50 本のカーボンフィラメントをサンプリングし、標本として取り付け、50 スロットのリニア カセットに装填した。 サンプルカセットを、ASTM C1557 規格に基づく測定パラメーターを使用して、Dia-Stron社製 自動直径測定システムおよび引張試験システムで測定、試験を実行した。
 

結論

本システムで測定、試験された引張特性は、引張強度、破断時の伸び、フィラメント直径など、公開されている製造データとよく一致していることが確認できた。
 

参考文献リスト

[1]Standard Test Method for Tensile Strength and Young's Modulus of Fibers, ASTEM1557-14
[2]F. Islam, S.Joannes, S. Bucknell, Y.Leray, A. Bunsell, L.Laiarinardrasana "Automated and advanced experimental techniques for accurate fibre strength measurement" in publication
[3]ISO 11566-CarbonFibre-Determination of tensile properties of single fibre specimens
[4]F. Franceschi Pereira "Influence of ample preparation on carbon fiber single filaments mechanical characterization", Podium Presentation, Carbon 2015 Conference, Dresden(2015)

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